ローマ・カトリック教会:ドイツ人ラッツィンガー枢機卿を法王に選出
ローマ・カトリック教会の枢機卿により構成されるコンクラーヴェは、中央ヨーロッパ時間19日、ヨハネ・パウロ二世の逝去により空位となった法王(教皇)位に、ドイツ・バイエルン州出身のヨーゼフ・アロイス・ラッツィンガー枢機卿(Kardinal Joseph Alois Ratzinger)=78歳=を選出した。新法王は、ベネディクト16世(Benedikt XVI.、ラテン語名:ベネディクトゥス16世=Benedictus XVI)を名のる。
新法王は、16日に78歳の誕生日を迎えたばかり。コンクラーヴェ二日目の第四投票で選出された。これは、ヨハネ・パウロ二世のときと同じように、異例のスピード選出であるとされる。
新法王は、1953年の博士号取得後、30歳の若さでハビリタツィオーン(教授資格論文)を仕上げた神学界の鬼才。フライジング哲学神学単科大学、ボン大学、ミュンスター大学、テュービンゲン大学、レーゲンスブルク大学で、ドグマティック(教義解釈学)および基礎神学を講じた。学術論文・著作も多数。ミネソタの聖トマス単科大学、アイヒシュテット・カトリック大学、リマ・カトリック大学、ルブリン・カトリック大学等世界中の大学から名誉博士号を授与されている。主張は、保守派をもって任じている。
新法王は、1927年4月16日に、警察官の子息として、バイエルンのマルクトル・アム・イン(Marktl am Inn)に生まれた。青年期はナチス・ドイツの最盛期と重なり、14歳でヒトラー・ユーゲントに参加、16歳で軍の対空砲部隊に所属、その後ハンガリーに赴任するが、1944年に脱走し、米軍の捕虜として敗戦を迎える。
新法王の選出について、ドイツのホルスト・ケーラー大統領は、「我が国の人間が法王となったことは、ドイツにいるわれわれの喜びとするところであるし、また、われわれとしては、ちょっぴり鼻が高くもある」と述べ、率直に喜びを表現して歓迎した。首相や政党党首、宗教界重鎮なども軒並み歓迎のコメントを発表しているが、ドイツ国内では、古いスタイルの価値観の典型であるカトリック保守派を代表する存在である、ラッツィンガー枢機卿の選出について、複雑な思いもあるようだ。
ドイツ以外の各国首脳も、軒並み歓迎のコメントを発表している。
なお、ヴァティカンは、台湾を正式な国家として承認しており、中国を正式な国家として承認していない。このため、ヨハネ・パウロ二世の葬儀にも、台湾の陳水扁総統が出席し、中国は代表を送ることができなかった。しかし今回、中国政府は、新法王の選出を祝福し、1951年に断絶し、以来冷却しているヴァティカンとの外交関係の改善を望むコメントを発表した。