欧州憲法条約:海外領土でフランスの国民投票始まる
中央ヨーロッパ時間28日、フランスの海外領土で、欧州憲法条約(EU憲法条約)の批准の可否を決する国民投票が始まった。
国民投票は、ニューファンドランド島=カナダ=沖のフランス海外領土であるサン=ピエール=エ=ミクロン(Saint-Pierre-et-Miquelon)で始まり、カリブ海のグヮルドゥループ(Guardeloupe)、同じくカリブ海のマルティニク(Martinique)、南アメリカの仏領ギアナ(Guyane)、太平洋の仏領ポリネシア(Polynésie)で行われる。
本土での投票は中央ヨーロッパ時間29日。
フランスの4200万人の有権者のうち、海外領土には140万人程度の有権者がいると見積もられている。本土での投票集計に間に合うように、海外領土では一足早く投票が開始された。
フランス各メディアの世論調査によれば、批准反対派がリードしており、50パーセント台前半をキープしている。与野党挙げて批准賛成キャンペーンを張ったが、現在のところ、批准の国民投票は否決される見通しが高い。
フランスでは、当初国民投票について楽観論が支配していたが、高い失業率とラファラン首相の不人気などを背景として、極右政党の国民戦線(FN = Front National、前回の大統領選でシラク大統領の対抗候補であるジャン=マリ・ル・ペンを擁立した政党)などが否決キャンペーンを張った。これらのキャンペーンの結果、フランスでは多くの国民が、欧州憲法条約の国民投票否決によりこれ以上のEU拡大を防止できると勘違いしており、中には欧州憲法条約の批准によりフランスが戦争に巻き込まれると勘違いしている人もいる。
これはEU加盟国すべてにいえることだが、EUに対する国民の関心・理解は必ずしも高くない。欧州憲法条約は、EUの機構改革・民主的正統性の強化・人権保障の強化を狙ったものであり、また、交渉の産物である最終的な内容もフランスにとって決して悪い内容でないはずだが、このことは国民には伝わっていないようだ。なお、欧州憲法条約は、トルコを含めた今後の加盟国の増大(拡大)とは、法的には無関係である(むしろ、欧州憲法条約は、新たにEUからの脱退を規定すらしている)。
フランス国民の否決派は、EU拡大と失業者の増大を短絡的に結びつけているふしがあり、また、EU憲法の国民投票に対する「ノン」が、不人気のラファラン政権への「ノン」の代わりになると考えているふしがある。これは、基本的には誤りであるが、部分的には正しく、国民投票否決の場合には、ラファラン首相は解任されるとするのが、おおかたの欧州メディアの見方だ。
フランス本土での投票は、明日29日(中央ヨーロッパ時間)に実施される。








