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2005年06月05日   EU医療・保健・衛生

食品栄養価表示規則案の動向

欧州議会が先月26日に改訂を加えて可決した食品栄養価表示規則案について、中央ヨーロッパ時間3日、衛生理事会(各加盟国の衛生担当閣僚により構成される理事会)は、欧州議会の改訂案に反対する議決を、全員一致で行った。

この規則案は、欧州委員会により、一昨年の7月16日に提出されていたもので、主として消費者保護の見地から、食品の栄養価表示や「健康」を謳う広告文句について、EU全域に妥当する統一規制レジームを設ける画期的な内容。

先月26日の欧州議会の議決に欧州委員会が猛反発していたが、今回の議決により、理事会も欧州委員会の肩を持つかたちとなった。一連の不協和により、当初2005年中が予定されていた同規則案の施行は、2006年までずれこむ公算となった。

規則案は、「食品の栄養価及び健康についての表示に関する欧州議会及び理事会規則(Verordnung des Europäischen Parlaments und des Rates über nährwert- und gesundheitsbezogene Angaben über Lebensmittel)」の草案で、現在食品の宣伝に安易に用いられている「低脂肪(fettarm)」「低糖(zuckerarm)」「低カロリー(energiearm)」などの広告文句について、新たに規制を設ける内容。

この法案が「指令(Richtlinie)」ではなく「規則(Verordnung)」として提案されたのは、EU全域に完全に一致した規制レジームが必要とされたため。国ごとに規制内容にばらつきがあると、それが輸出入の際の参入障壁となり、EU域内の通商を阻害することになる。

欧州委員会の提出した原案によれば、欧州委員会が食品ごとに行うべき栄養価表示を決定すべきものとしていたが、欧州議会はこれを削除した。

また、欧州委員会の原案によれば、「脳が活性化」「胃腸が喜ぶ」「血行がよくなる」などの健康に関わる表示については、事前に欧州食品安全庁(Europäische Behörde für Lebensmittelsicherheit)の許可を受けるべきものとしていたが、欧州議会は、これを事後の届出制度に変更した。

その他にも欧州議会は多くの変更を行ったが、上記二点の変更については、欧州委員会は絶対に譲れないと反発。今回の議決により、理事会も欧州委員会に肩入れする形となった。

上記規則案は、いわゆる共同決定手続(Mitentscheidungsverfahren)により立法されることとなっており、欧州議会と理事会の意思が最終的に合致しないと規則は成立しない。

欧州共同体条約によれば、欧州議会が法案を改訂して可決し、これに対して理事会が異なる決定を行った場合には、次のような手続となる:
(1)理事会の決議を受け入れた場合、又は、3か月以内に議決を行わない場合には、理事会の決議の通りの規則となる。
(2)逆に、欧州議会が、議員の絶対多数により理事会の決議を否決した場合には、規則案は廃案となる。
(3)欧州議会が、理事会の決議に対して変更を決議した場合には、欧州委員会が意見を具申した後に理事会が決定を行う。これでも決着がつかなければ、理事会と欧州議会の間で協議会が行われる。

現在、欧州委員会が想定しているのは(3)のシナリオであり、この場合は、欧州議会の決議、欧州委員会の意見具申、理事会の決定にそれぞれ時間がかかる上、さらに協議会手続に3か月程度かかるので、総合すると少なくとも半年程度はかかる公算となる。

また、この手続においては、結局のところ欧州議会と理事会の妥協が成立しないと廃案になるので、この規則案が廃案になる可能性も少なくない。

ただ、欧州議会・理事会・欧州委員会の三者とも、現在氾濫している「健康」を謳う広告から消費者を保護する対策が必要だとしている点では一致しており、何らかの妥協が成立する可能性も考えられる。

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