欧中貿易摩擦:繊維覚書の具体的内容
欧中間の貿易摩擦をひきおこしていた中国からEUへの繊維製品輸出について、中国標準時10日夜、上海を訪れていた欧州委員会のピーター・マンデルソン(Peter Mandelson)委員(通商担当)と、中国の薄煕来(Bo Xilai)商務部長の間で交渉が妥結し、覚書が交わされた。これを受けて、欧州委員会は、中央ヨーロッパ時間12日、覚書の具体的な内容について発表を行った。
これによれば、急激な輸入増加により懸案となっていたTシャツ(過去一年で187パーセント増加)については年間10パーセントの増加に抑えられることになり、中国側は大幅な譲歩を迫られたことになる。また、同じく懸案となっていた亜麻糸(過去一年で56パーセント増加)についても、年間10パーセントの増加に抑えられることになった。
これらの譲歩を引き出したことにより、EU側からのセーフガードの発動の可能性は撤回された。但し、EU側は、今回対象となった10品目以外については、ひきつづき中国WTO加盟議定書242条の手続を行使する意図を有している旨を覚書に盛り込んでおり、貿易の状況によっては、今後、さらに繊維製品での紛争が勃発することもあり得る。
今回の措置により、EU域内の繊維産業はひとまず保護されることとなるが、安価な中国製品が年々増加していくことには変わりがなく、また、2009年からはWTO法から対中繊維セーフガード自体がなくなるので、今後、域内の繊維企業の構造改革が進むのは必至の情勢だろう。
EUの繊維製品輸出は、中国に続き世界第二位となっている。
今回の貿易紛争は、中国製品の輸入の急激な増加に鑑み、先月17日に、EU側が対中緊急手続を発動したことにより、表面化した。
緊急手続は、各段階を経て、最終的にはセーフガード発動に行き着く。セーフガードが発令された場合には、中国WTO加盟議定書242条にもとづき、年間貿易量増加率を7.5パーセントにまで抑えることが可能になる。
EUを繊維製品の大きな輸出先としている中国にとっては、セーフガードの発令は絶対に避けたい選択肢であり、このことが、今回、不利な条件ながらも中国側を自主規制に踏み切らせた要因であると見られる。
欧州委員会と中国商務部の間に交わされた覚書の、具体的な数字は、次の通り(数字は、中国からEUへの輸出の年間増加率):
| 品目 | 2005年 | 2006年 | 2007年 |
|---|---|---|---|
| セーター | +8% | +10% | +10% |
| 紳士ズボン | +8% | +10% | +10% |
| ブラウス | +8% | +10% | +10% |
| Tシャツ | +10% | +10% | +10% |
| ドレス | +10% | +10% | +10% |
| ブラジャー | +10% | +10% | +10% |
| 亜麻糸 | +10% | +10% | +10% |
| 綿織物 | +12.5% | +12.5% | +12.5% |
| ベッド・リネン | +12.5% | +12.5% | +12.5% |
| テーブル・キッチン・リネン | +12.5% | +12.5% | +12.5% |
なお、EUは域内市場を形成しているため、第三国との通商については、個々の加盟国ではなく、欧州委員会が専権で交渉を行うことになっている。






