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2005年06月17日   EU憲法・基本条約・人権

ユーロバロメータ:「憲法条約の否決はヨーロッパの否決にあらず」

欧州委員会は、中央ヨーロッパ時間15日、フランス・オランダの国民投票による欧州憲法条約批准の否決直後に行われたユーロバロメータ(EU主催の世論調査)の結果を公表し、「憲法に対するノン(フランス語)/ネーン(オランダ語)はヨーロッパに対するノン/ネーンにあらず(le « non » à la Constitution n’est pas un « non » à l’Europe / de “neen”-stemmen tegen de Grondwet zijn geen “neen”-stemmen tegen Europa)」と結論付けた。

なお、オランダ語の「ネーン」は、「ネー(nee)」(いいえ)と同じ意味。

フランスでの調査は、先月30日及び31日に、有権者2015人に対して、電話で行われた。また、オランダでの調査は、今月2日~4日に、有権者2000人に対して、電話で行われた。

それによれば、反対票を入れた理由は、フランスとオランダでは大きく異なっていた。

フランスでは、労働市場の将来的な悪化(Cela aura des effets négatifs sur la situation de l’emploi en France / délocalisation des entreprises françaises / perte d’emplois)を挙げたのが31パーセントで最も多く、次に、現在の不況と失業の状態(La situation économique en France est trop mauvaise / Il y a trop de chômage en France)を挙げたのが26パーセントと続いた。また、4位には18パーセントで現政権への反対(Opposition au président de la République / au Gouvernement / à certains partis politiques)が挙げられた。

このことは、欧州憲法条約が、主として欧州憲法条約以外の理由で否決されたことを証明するものだ。

そもそも、欧州憲法条約は、主としてEUの機構改革を目的としたものであり、東欧諸国やトルコの加盟とは何の関係もないはずだが、フランスでは、国民戦線(FN)のようなポピュリズム政党が、「ヨーロッパ」と「安価な労働者の流入」を短絡的に結びつけることにより、否決を煽った経緯がある。労働市場の将来的な悪化が第一位の理由として挙げられたことは、国民がこのようなポピュリズム政党に巧妙に騙されたことを意味する。

このことは、第7位の理由(6パーセント)として「EUにトルコは不要(Ne veut pas de la Turquie dans l’Union européenne)」が挙げられていることからも分かる。

また、現在の不況と失業についても、これは現在のフランス政府の責任であり、将来発効することになるはずの欧州憲法条約とはまったく関係がないことは言うまでもない。また、欧州憲法条約批准の国民投票が、現政権の信任投票でないことも明らかである。

しかし、第2位と第4位の理由を見る限り、多くの国民により、不人気のラファラン政権(当時)への「ノン」として、欧州憲法条約の国民投票が濫用されたことになる。投票前、シラク大統領は、「現政権の信任を問うているのではなく、欧州の将来を問うているのである」との趣旨を国民に訴えかけたが、国民は聴く耳を持たなかったようだ。

これに対して、憲法条約の内容が自由主義経済に傾きすぎている(Le projet est trop libéral sur le plan économique)、社会福祉がないがしろにされている(Pas assez d’Europe sociale)、難しすぎる(Trop complexe)として、憲法条約の内容にまで踏み込んだ回答は、それぞれ3位(19パーセント)、5位(16パーセント)、6位(12パーセント)にとどまった。

これに対して、オランダでは情報の欠如(Lack of information)が32パーセントで第一に挙げられており、欧州憲法条約の中身以前の問題であったことが分かる。この点については、内容の周知を徹底しなかったオランダ政府の責任と見ることができる。

その他の理由としても、「国家主権の喪失(Loss of national sovereignty)」(19パーセント)、「ヨーロッパは高すぎる(Europe is too expensive)〔※オランダがEUに払う金額よりも、EUがオランダ(国民)に払う金額のほうが少ないことをいう〕」(13パーセント)、「欧州統合に反対(I am against Europe / European construction / European integration)」(8パーセント)、「内容がよくない(I do not see what is positive in text)」(6パーセント)、「急進的(The draft goes too far / advances too quickly)」(6パーセント)、「テクノクラート的、司法偏重、規制過多(Too technocratic / juridical / too much regulation)」(6パーセント)、「民主主義の度合いが不十分(Not democratic enough)」(6パーセント)、「難しすぎる(Too complex)」(5パーセント)など、憲法条約の内容に踏み込むものや、欧州統合を正確に理解していると思われる回答が多い。

ただ、現政権に反対(Opposes the national government / certain political parties)という理由で反対票を投じた人も14パーセントおり、フランスほどではないが、国民投票を濫用した人が多かったことも明らかになった。また、労働市場への悪影響(It will have negative effects on the employment situation in the Netherlands / relocation of Dutch enterprises/loss of jobs)を挙げた人も7パーセントおり、また、現在の不況と失業(The economic situation in the Netherlands is too weak / there is too much unemployment in the Netherlands)を挙げた人も5パーセントいた。

一方、自国がEUに加盟していること自体については、今回反対票を入れた人のうち、フランスで83パーセント、オランダで78パーセントの圧倒的多数が支持しており、「憲法条約の否決はヨーロッパの否決ではない」ことが、数値的にも実証された。

調査結果は、次のリンクから見ることができる:

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