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2005年06月18日   ヨーロッパ情勢

欧州理事会:憲法条約批准は延期、拠出金問題は妥結失敗

ブリュッセル(ベルギー)で中央ヨーロッパ時間16日及び17日に開催されていた欧州理事会(EU加盟国の首班会議)は、2日間の日程を終了した。

欧州理事会では、1日目の議題として欧州憲法条約の問題が、2日目の議題として2007年から2013年にかけての拠出金(欧州委員会の提案によれば総額1兆250億ユーロ)の割り当ての問題が話し合われた。1日目の憲法条約の延期については合意に達することができたが、2日目の拠出金問題では各国の主張の隔たりが大きく、最終的な妥協案でも合意に達することができず、議長をつとめるユンカー首相(ルクセンブルク)は議論を打ち切った。

なお、大方の予想通り、中国に対する武器禁輸措置(天安門事件での中国政府の虐殺に抗議して、1989年に欧州諸共同体諸国が導入したもの)の解禁については、ほとんど議題にすら取り上げられなかった。

懸案となっていたEUの拠出金問題については、ついに合意に達することができなかった。

ユンカー首相が17日夜に提示した最終妥協案も、連合王国・オランダ・スウェーデン・スペインの反対により否決された(欧州理事会は慣例によりコンセンサス方式で議決を行うため、一国でも反対すると否決される)。欧州理事会後、ドイツのシュレーダー首相は、合意に至れなかったのは連合王国とオランダの責任だとし、激しく非難した。

欧州理事会前、フランスのシラク大統領は、EU25か国中、連合王国1か国のみが受けている拠出金の割引について疑問を呈し、ドイツのシュレーダー首相もこれに同調していた。

これに対して、連合王国のブレア首相はあくまで自国の既得権に固執。逆に、2002年に合意に達したはずの農業補助金(農業国フランスに権益が多い)の問題を持ち出して応酬したが、フランスとドイツからの反応は冷淡だった。

このため、議長国ルクセンブルクのユンカー首相は合意案の作成に苦慮。作成した合意案は、拠出金支払超過国(オランダ、スウェーデン、ドイツなど)の負担軽減も内容として含んでいたが、オランダ(国民一人あたりのEU拠出金負担が、加盟国中最も高い)が「負担の軽減が少なすぎる」として反対を表明。合意はますます困難になった。

このような状況に鑑みて、フランスのシラク大統領も連合王国への歩み寄りを見せたが、ルクセンブルクが提示した最終的な合意案に対して、連合王国が「前より悪くなっている」などとして反対票を投じ、欧州理事会を失敗に至らせた。

シュレーダー発言に見られるように、連合王国の自国の権益にばかり固執するこのような態度が、他の加盟国の顰蹙と反発を買うのは必至。今後、連合王国がEU内で孤立することも予想される。

輪番により、7月からはこの連合王国が半年間議長国となるが、このような態度を見る限り、今後半年間はEU統合の進展は期待できないようだ。進展が期待できるのは、来年1月にオーストリアが議長国となってからだろう。

このことを裏書きするように、EU首脳も、欧州憲法条約を再び議題とする特別欧州理事会の時期を来年6月と決定し、意図的に連合王国が議長をつとめる時期を外している。

スペインのサパテロ首相も、ルクセンブルクの合意案は不満だったので反対票を投じたとしながらも、スペインとしては妥協を模索していくつもりがあったとして、妥協の用意のなかった連合王国・オランダを間接的に非難した。

欧州委員会の提案によれば、2007年1336億ユーロ、2008年1387億ユーロ、2009年1431億ユーロ、2010年1467億ユーロ、2011年1502億ユーロ、2012年1543億ユーロ、2013年1584億ユーロで、総額1兆250億ユーロとなる。しかし、8150億ユーロ程度に削減すべきだという反対論が、支払超過国から強硬に主張され、そもそも議論の出発点からして、合意が難しい状況であった。

特に、オランダでは国民一人当たりの負担金が120ユーロとなっており、EU中最も高く、これがオランダでの憲法条約批准の国民投票否決の一因となった。これに続くのがスウェーデンで、一人当たり107ユーロ。スウェーデンでも、国民投票が控えており、安易な妥協はできない理由がある。第3位は一人当たり90ユーロでドイツとなっているが、ドイツは最初から妥協の用意があった(なお、ドイツでの批准手続はほぼ済んでおり、国民投票は行われなかった)。

一方、欧州憲法条約の批准については、1日目に、一年間の「シンキング・タイム(Denkpause)」を置くことで合意。欧州憲法条約447条2項により来年の11月1日とされている発効時期も、2007年中ごろまで延長されることとされた。

「シンキング・タイム」は、国民が憲法条約について議論を行う時間ということで、既に憲法条約を批准したかにかかわらず、すべての加盟国において議論が行われることが期待されている。その上で、具体的な批准手続については、各国が「自律的かつ主権的に(autonom und souverän)」決定すべきものとされている。

これまでに、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、ポルトガル、チェコが国民投票の延期を決定し、また、ポーランドとエストニアは批准手続を予定通り決行することを表明している。来月10日に国民投票が予定されているルクセンブルクについては、最終的な決定は議会が行うとしている。

また、条文自体の再交渉の可能性については、再交渉は行わないということで合意した。ユンカー首相は、「代替案(Plan B)ではなくディベートとディスカッションの案(Plan D)があるのみだ」と述べた。したがって、フランスとオランダについては、同じ条文について再投票を行うことになろう。

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