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2005年06月22日   EU外交・安全保障

欧米首脳会談:ブッシュ大統領が「強い一つの欧州」の支持を表明

アメリカ東部標準時20日、ワシントンD.C.(合衆国)のホワイト・ハウスで、欧米首脳会談が行われた。EU側からは議長国ルクセンブルクのユンカー首相、欧州委員会のバローゾ委員長、共同外交安全保障政策のソラナ上級代表が参加し、欧米貿易、イラク問題、中国問題、欧州統合などの多様な問題について話し合われた。

ブッシュ大統領は、会談後、「重要な目的・目標を達成するための協働パートナーとなるような『強い一つの欧州』をアメリカ側として求めますと、友人でもあるこちらの首脳の方々にお伝えしました(My message to these leaders and these friends was that we want a Europe strong so we can work together to achieve important objektives and important goals)」と述べ、更なる欧州統合の進展への支持を示すとともに、欧米関係の改善を印象付けた。

イラク戦争により欧米関係はかなり冷え込んだが、その後は徐々に改善し、今年の2月22日にはブッシュ大統領がブリュッセルでEU首脳を訪問した。今月22日にも、欧米共催でイラク復興会議が開催される。

さきに開催された欧州理事会(EU加盟国のトップ会談)の議長総括書では、「欧州理事会は、2005年上半期における大西洋横断関係〔=ヨーロッパと北アメリカ大陸の関係〕がプラスの方向で発展したことを歓迎する(Der Europäische Rat begrüßt die positive Entwicklung der transatlantischen Beziehungen im ersten Halbjahr 2005)」と評価しつつ、「2005年6月20日にワシントンで開かれる欧州連合と合衆国の年次首脳会談は、欧州連合にとってのこの代替不可能な戦略的パートナーとの関係の進展を確固たるものにする機会となるだろうし、また、特に、大西洋を横断する経済関係〔=ヨーロッパと北アメリカ大陸の経済関係〕を深化させる機会を、新たに提供してくれるだろう(Das jährlich stattfindende Gipfeltreffen zwischen der Union und den Vereinigten Staaten, das für den 20. Juni 2005 in Washington anberaumt ist, wird erneut die Gelegenheit bieten, die Fortschritte in den Beziehungen zu diesem unersetzlichen strategischen Partner der Union festzustellen und insbesondere die transatlantischen Wirtschaftsbeziehungen zu vertiefen)」とし、貿易関係に重点を置いた、欧米関係の強化を指示していた。

また、欧州統計局(Eurostat)は、中央ヨーロッパ時間20日、今回の欧米首脳会談を契機として2004年の統計を発表し、EUと合衆国は互いに最大の貿易取引先であることを強調していた。EUの中で、合衆国への貿易高の最も多い国は、ドイツ(輸出650億ユーロ、輸入320億ユーロ)と連合王国(輸出400億ユーロ、輸入350億ユーロ)だった。EU25か国の合計では、対米輸出2350億ユーロ、同輸入1600億ユーロとなった。

首脳会談では、欧米間の貿易関係をさらに強化していくためには、その妨げとなっている規制の問題を解決していくことが必要との認識で一致した。具体的には、「ロードマップ」が策定されたほか、高官同士の調整フォーラム(Kooperationsforum)も設置されることになった。これにより、両者の更なる貿易関係の拡大の環境が整えられることになる。

「EU・合衆国間の規制に関する協力のための2005年のロードマップ(2005 Roadmap for EU-US Regulatory Cooperation)」は、業界ごとの双方の規制レジームについてメスを入れるもので、具体的には、薬品(Pharmaceuticals)、自動車の安全基準(Car Safety)、ITに関する基準(Information and Communications Technology Standards)、化粧品(Cosmetics)、製造物の安全性に関わる消費者保護(Consumer Product Safety)、消費者保護の強制措置の協力(Consumer Protection Enforcement Cooperation)、不公正な取引慣行(Unfair Commercial Practices)、食品栄養価表示(Nutritional Labelling)、食肉を含む食品の安全性(Food Safety)、艦船の装備(Marine Equipment)、エコデザイン(Eco-Design)、化学製品(Chemicals)、エネルギーの効率性(Energy Efficiency)、電気通信設備と放送設備(Telecommunications and Radio-communications Equipment)、医療用品(Medical Devices)が対象となっている。

また、調整フォーラムでは、総合的な観点から、欧州委員会と合衆国行政予算管理局(OMB = United States Office of Management and Budget)との間の擦り合わせ等が行われる予定である。

実は、合衆国が欧州統合を支援する理由は、貿易だけではない。EU拡大によりバルカン半島が安定化すれば、(イラクなどと異なり合衆国にとってあまりうまみのない)バルカン半島から、現在NATO軍(KFORなど)を通じて展開している合衆国軍を撤収することができる。また、合衆国はイラク問題の処理についてはEUの協力が欲しいし、中国との貿易摩擦ではEUとともに中国に圧力をかけたい。EU側としても、中国との貿易摩擦では合衆国と共同歩調をとりたい。このようにEUと合衆国は、多くの点で互いに利害が一致している。

欧州理事会の議長総括書でも、「欧州理事会は、東アジアに関する、欧州連合と合衆国の間の戦略的な対話が導入されたことを歓迎する(Der Europäische Rat begrüßt es, dass ein strategischer Dialog zwischen der Union und den Vereinigten Staaten über Ostasien eingeleitet wurde)」としていた。

中国に対しては、WTO法の遵守(紛争解決の遵守、違法海賊版の取り締まり)や人民元の切り上げを要求していくことが必要だと、欧米双方が一致して考えている。現在、人民元のレートが安すぎるために中国からの輸出に歯止めがかからなくなっており、中国製品の価格を適正化するために人民元の切り上げが必要とされている。また、EUでは今年に入ってからの繊維製品の輸入量の激増が問題とされ、WTO法にのっとって欧州委員会が要求を行った結果、中国側が輸出量を自主規制することとなった経緯がある。

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