EUが北朝鮮に人道的支援:共産独裁政権延命につながらない方法で
欧州委員会は、中央ヨーロッパ時間27日、北朝鮮に対して1000万ユーロ程度の医薬的な人道的支援を行うことを発表した。人道的支援は、欧州委員会人道的支援庁(ECHO)を通じてなされ、同庁が自ら医薬品等を購入するとされているため、同支援が共産独裁政権の延命に悪用される危険は少ないものと見られる。
北朝鮮は、「悪の枢軸」を構成する国家の一つで、金正日の独裁政権により支配されており、日本に対して拉致やミサイル「テポドン」発射などを行ったテロ国家として、欧州でも悪名が高い。また、北朝鮮は共産主義独裁国家であるため、自由主義・民主制・人権尊重・法治国家を基本価値とするEUにとっては、受け容れ難い存在である。実際、報道によれば、G8(うち4か国がEU加盟国)がサミットで北朝鮮とイランに対する圧力を強めるだろうとの観測が流れている。
しかしながら、欧州委員会の推計によれば、北朝鮮においては、国民の医薬品需要の半分すらみたされていない状況だといい、また、北朝鮮産の医薬品は粗悪品であるため、独裁政権の悪政に苦しむ国民に対して人道支援を行うことが決定された。
人道的支援は、咸鏡南道(Süd-Hamgyong)、平安北道(Nord-Pyongan)、平安南道(Süd-Pyongan) 、慈江道(Chagang)、開城(Kaesong)の5地域になされる予定であり、医薬品や医療用具の購入、病院・分娩施設の補修、高齢者の健康状態改善計画の支援などにあてられる。
北朝鮮は、合衆国との関係悪化に伴い、外貨決済貨幣をドルからユーロに変更するなど、EUに擦り寄る姿勢を示している。しかし、EU・北朝鮮間の貿易高はせいぜい3億ユーロ程度であり、総額900億ユーロ以上の貿易相手である合衆国との外交関係を犠牲にして北朝鮮との関係を強化することはあり得ない。
金額的にも、同日発表されたモンペリエ市の路面電車計画に対する支援(2億ユーロ)の20分の1程度に過ぎない。また、単発の支援であり、EUがACP諸国に対して行っているような継続的・総合的な支援とはまったく異なるものである。
ただ、EU側がこの時期に支援を発表したことは、9月の国連総会(一国一票を有する)を見据えてという側面も否定できないものと見られる。同総会では、日本のほかにドイツの安全保障理事会常任理事国入りも議論される予定。
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