ルクセンブルクの国民投票が欧州憲法条約批准を可決:マルタの批准に続く
中央ヨーロッパ時間10日、ルクセンブルク大公国で欧州憲法条約(EU憲法条約)批准の可否を問う国民投票(レフェレンダム)が行われた。即日開票され、開票終了の結果、賛成10万9494票(56.52パーセント)、反対8万4221票(43.48パーセント)の賛成多数で可決された。
フランスとオランダの国民投票において否決され、発効が危ぶまれるに至った欧州憲法条約であるが、ルクセンブルクでは、ジャン=クロード・ユンカー首相が、自らの進退を賭けて国民投票に臨んだ。仏蘭の国民投票の結果を受け、ルクセンブルクでも反対派が増加したため、投票前、ユンカー首相は、弱気の発言を繰り返していたが、この結果により胸をなでおろした恰好になる。ユンカー首相は、既に10年以上同国の首相をつとめており、また、兼務している財務大臣のポストは今月13日でまる16年となる。
ルクセンブルクの国民投票は、諮問的なものであり、法的な拘束力はないが、オランダの国民投票も諮問的な国民投票だったのであり、もし否決された場合には、欧州憲法条約の「危機」は増幅すると考えられていた。
今回の国民投票の結果を受けて、ルクセンブルクの議会は、年内にも批准手続を完了するものと見られる。国民投票で可決された以上、議会が否決することはありえず、ルクセンブルクの批准は実質的には決定したことになる。
今回の結果により、批准を決定した加盟国が13か国、批准を否決した国2か国(フランス・オランダ)、未決10か国となり、賛成国が半数を超えた。批准を完了ないし実質的に決定したのは、ドイツ、オーストリア、キプロス、スペイン、ギリシャ、ハンガリー、イタリア、ラトヴィア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、スロヴァキア、スロヴェニア。なお、ドイツでは連邦議会(Bundestag)・連邦理事会(連邦参議院、Bundesrat)の可決により実質的な手続は終了しているが、連邦憲法裁判所(BVerfG = Bundesverfassungsgericht)が批准法律を違憲と判断する可能性も残っているので、未批准国に算入する場合もある。
地中海の島嶼国家マルタでは、今月6日に首都ヴァレッタ(Valletta)の議会で投票が行われ、与野党の賛成により、全議員65名の満場一致で可決されていた。
フランスとオランダの国民投票否決によって「危機」に陥ったとされる憲法条約だが、その後は、ラトヴィアの批准、キプロスの批准、マルタの批准、ルクセンブルクの国民投票の可決と朗報が相次いでおり、「危機」感は若干和らいだともいえそうだ。
しかし、憲法条約自身が規定している通り、すべての加盟国が批准手続を完了しない限り、憲法条約が発効することはない。とはいえ、「25か国中、フランスとオランダのみが否決、他はすべて批准」という状況にまで追い込むことができれば、条文の変更なしにフランスとオランダでの再投票が行われる見込みが高まり、発効の見通しも開けてくる。
事実、ニース条約の批准手続(当時は15か国)においては、アイルランドただ一国が国民投票で否決したが、条文の変更なしに再投票が行われ、最終的に可決され、無事条約が発効した経緯がある。
ルクセンブルクにおいては選挙などの投票は国民の「義務」であるとされているため、原則として棄権するという選択肢はない。したがって、投票率はきわめて高いものになるのが通例。今回の国民投票にも投票義務(Wahlpflicht)が課せられ、投票率はきわめて高くなるものと予想されていた。今回の国民投票では、有権者数は22万3000人程度とされていることに鑑みて、投票率は87パーセント程度だったと見られる。
ルクセンブルクの国民投票の結果を選挙区別に見ると、118選挙区のうち、9選挙区で反対票が上回った以外は、すべての自治体で賛成票が上回った。特に、反対票が上回った9選挙区のうち、7選挙区が西南部のフランスと隣接する地域に集中していることは興味深い。
反対票が上回った選挙区は、次の通り:ペタンジュ(Pétange、西南部)、ディフェルダンジュ(Differdange、西南部)、サネム(Sanem、西南部)、エシュ=シュール=アルゼット(Esch-sur-Alzette、西南部)、シフランジュ(Schifflange、西南部)、ケーユ(Kayl、西南部)、リュムランジュ(Rumelange、西南部)、ボフォール(Beaufort、東北部)、エシュ=シュール=シュール(Esch-sur-Sûre、西北部)。
ルクセンブルクの国民投票の結果に対して、EU議長国連合王国のジャック・ストロー外務大臣、欧州委員会のバローゾ委員長、ドイツのヨシュカ・フィッシャー外務大臣などが歓迎のコメントを発表した。
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