軍需産業の域内市場化に向けて:防衛会議開催
欧州委員会と欧州防衛庁(EDA = European Defence Agency、2004年創設、ハビエル・ソラナ欧州外交安全保障政策上級代表の管掌)の主催により、中央ヨーロッパ時間11日、防衛会議(Defence Conference)が開催された。会議では、「欧州防衛装備市場(European Defence Equipment Market)」の創設など、欧州委員会の提案について話し合われた。
欧州防衛庁のニック・ウィットニー(Nick Witney)主席行政官は、「ヨーロッパが防衛費として毎年費やしている1600億ユーロを、私たちはもっとうまく使用していかなければならない(We have to make better use of the 160 billion euros [= les 160 milliards d’euros] that Europe spends on defence each year)」と述べ、欧州委員会の提案に賛意を示した。
欧州委員会は、軍需産業の売上は年間700億ユーロ程度と試算しており、また、77万人の雇用を創出しているとしている。鉄鋼産業から、造船産業、航空産業、電機産業、IT産業に至るまで、関連業種も多岐に亘る。しかし、軍需産業はその性質上国家が深く関与し、市場も加盟国ごとに分断されている。
しかし、EUが防衛共同体である以上、EU域内でのある程度の自由化は可能なはずであり、「欧州防衛装備市場」創設に向けて欧州委員会は4つの提案を行った。
欧州委員会の提案は、次の4点:
- 欧州の防衛技術と産業基盤の調査:政策基盤となるデータの収集の提案。
- 標準化:規格の統一により、欧州域内での輸出入が容易になるという提案。
- 許可制の導入:現在、EU域内でも、軍需品の輸出に関しては、第三国への輸出並みに厳しい管理体制が敷かれているが、EU域内に限っては、許可制の導入するなどしても構わないのではないかという提案。
- 入札規定の調和:各国の入札規定の相違点を少なくし、他の加盟国の業者の入札を容易にしようという提案。
欧州委員会のギュンター・フェアホイゲン副委員長(企業・産業担当)は、「流動性のある防衛セクターは、経済成長を促進するだろうし、雇用と成長に関するリスボン目標〔達成〕への重要な貢献となるだろう(A dynamic defence sector can boost economic growth and make an important contribution to the Lisbon goals for jobs and growth)」と述べ、同委員会の提案の重要性を説いた。
EUでは、共同外交安全保障政策(GASP = Gemeinsame Außen- und Sicherheitspolitik)の一部として、2000年のニース欧州理事会以来、欧州安全保障防衛政策(ESVP = Europäische Sicherheits- und Verteidigungspolitik)が導入されており、加盟国間の軍事的な結びつきが強められている。
欧州委員会の提案は、このような前提があって初めて実現可能になるものであり、単なる産業振興政策と見るべきではない。
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