EUで「海洋汚染罪」を導入:犯罪化が実現、公海上の行為も処罰
欧州連合(EU)の閣僚理事会は、中央ヨーロッパ時間12日、故意又は重過失により(vorsätzlich oder grob fahrlässig)惹き起こされた海洋汚染を加盟国が犯罪とし、刑事罰を義務付ける指令(Richtlinie)を可決した。これにより、2年以上に亘った立法手続は完了し、同指令は成立した。
EUでは、1999年のエリカ(ERIKA)号座礁事件と2002年のプレスティージ(PRESTIGE)号座礁事件により、石油その他の有害物質による海洋汚染が深刻な問題として認識されるようになった。現在、安全基準をみたさない船舶や老朽船舶の追放などの措置を行っているが、より予防効果のある措置として、汚染行為に対する刑事罰の導入が期待されていた。
同指令では、一部の加盟国の反対により、自由刑(日本の懲役刑に相当)を導入することはできなかったが、最大150万ユーロの罰金が科せられることになり、海洋汚染を予防する効果が期待されている。また、「海洋汚染に領海も公海も区別はない」との論理のもと、指令は、適用範囲を領海に限定せず、公海上の行為も犯罪行為としているため、この点で「ザル法」となることはない。
同指令は、加盟国の港湾に寄航する船舶であれば、船舶の旗国(船籍)や船長・船舶所有者等の国籍等に関係なく適用される。
今回成立した指令は、「船舶による海洋汚染、及び、汚染罪に対する制裁(刑事罰を含む。)の導入に関する欧州議会及び理事会の指令(Richtlinie des Europäischen Parlaments und des Rates über die Meeresverschmutzung durch Schiffe und die Einführung von Sanktionen, einschließlich strafrechtlicher Sanktionen, für Verschmutzungsdelikte)」で、近く正文がEU官報(Amtsblatt)で公布される。
海洋汚染罪の構成要件となる「有害物質(Schadstoffe)」は、マルポール73/78条約(Marpol-Übereinkommen 73/78、1973年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する1978年の議定書)の第一附属書及び第二附属書に定められた物質とされており、具体的には、石油などの油類と有害液体物質が対象となる。
指令案は、2003年3月6日に欧州委員会によって提出されたが(欧州委員会2003年92号確定)、欧州議会と理事会の共同決定手続(Mitentscheidungsverfahren、欧州共同体条約251条)によるべきものとされているため、2年以上の時間を掛けてようやく成立にまでこぎつけた。
今後、指令は国内法に転換されることになるが、欧州委員会の原案によれば転換期限は6か月であり、早急に国内法に転換されるものと見られる。
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