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2005年07月17日   EU域内市場

欧州委員会による条約違反の追及が激化:夏期ヴァカンス期間を前に

中央ヨーロッパ時間7月第3週平日(11日~15日)の間に、欧州委員会により進められた条約侵害手続が厖大な数に上ることが、欧州経済新聞の調査により分かった。

条約侵害手続においては、催告など、欧州委員会が加盟国に考慮時間を与えなければならない手続が多い。このため、夏のヴァカンス期間を前に、欧州委員会が催告などを行っておくことにより、時間を効率的に使おうとしているものと見られる。しかし、逆に加盟国の官僚からすれば、夏のヴァカンス期間を目前にして大量の仕事が降ってくることになるため、堪ったものではない。

もっとも、欧州共同体条約によれば、条約侵害手続においては、催告などを行うかどうか、行うとすればいつ行うかの決定権は、欧州委員会側にあるとされており、また、そもそも原因は条約を遵守しなかった加盟国側にあることに鑑みれば、自業自得とも言えそうだ。

この期間に進行した条約侵害手続の理由と対象国は、以下の通り:

11日(月曜日)

・旅客船の安全基準に関する共同体指令(1998年18号)を国内法に転換していない:スロヴァキア
・旅客船の安全基準に関する共同体指令(2002年84号)を国内法に転換していない:スロヴァキア
・旅客船の安全基準に関する共同体指令(2003年24号)を国内法に転換していない:オーストリア、フィンランド、ポルトガル、スロヴァキア
・旅客船の安全性に関する1996年2月28日のストックホルム条約を共同体法に転換する共同体指令を国内法に転換していない:オーストリア、キプロス、エストニア、ポルトガル、スロヴァキア
・船舶廃棄物及び積載残余物のための港湾設備に関する共同体指令(2000年59号)の国内法未転換・不十分:ベルギー・ハンガリー
・港湾で使用される報告書が、共同体規則2002年6号で義務付けられている形式(IMO-FAL形式)に適合しない:ポーランド
・環境についての情報公開に関する共同体規則(2003年4号)の国内法未転換:ベルギー、フランス、イタリア、ギリシア、ハンガリー、ルクセンブルク、スペイン
・騒音公害のアセスメントとマネジメントに関する共同体規則(2002年49号)に規定された措置の未実施:オーストリア、ベルギー、チェコ、フィンランド(オーランド地方)、フランス、ギリシア、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、ポルトガル、連合王国
・廃棄電気電子機器指令(WEEE指令:Waste Electrical and Electronic Equipment、2002年96号)の国内法未転換:エストニア、フィンランド、フランス、ギリシア、イタリア、マルタ、ポーランド、連合王国
・戦略的環境査定指令(SUP指令:strategische Umweltprüfung、2001年42号)の国内法未転換:オーストリア、ベルギー、キプロス、ギリシア、スペイン、フィンランド(オーランド地方)、イタリア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ポルトガル、スロヴァキア

12日(火曜日)

・ワロン地方のフロベック(Flobecq)廃棄物処理場における有害物質の垂れ流しによる環境汚染(共同体指令1976年464号、共同体指令1980年68号、共同体指令1975年442号、共同体指令1999年31号の違反):ベルギー
・クロハラハムスター(Cricetus cricetus)の不十分な保護(共同体指令1992年43号違反):ベルギー
・環境アセスメント指令(UVP指令:Umweltverträglichkeitsprüfung、1985年337号・1997年11号)の不十分な転換:ポルトガル
・リスボン市内の医療廃棄物焼却場の継続操業(共同体指令1975年442号、共同体指令1991年156号、共同体指令2000年76号の違反):ポルトガル
・廃水の不適切な処理(共同体指令1991年271号の違反):ポルトガル、ルクセンブルク
・微粒子(Feinstaub)による大気汚染(共同体指令1996年62号、共同体指令1999年30号の違反):ポルトガル
・新車購入の際の二酸化炭素(CO2)排出情報の提供に関する報告書の未提出(共同体指令1999年94号の違反):ルクセンブルク

13日(水曜日)

・水力発電の認可を与える際に、既認可業者を優遇する法律(欧州共同体条約43条以下に規定される開業の自由(Niederlassungsfreiheit)に違反):フランス、イタリア、スペイン
・著作権法指令(2001年29号)の国内法未転換:フランス、フィンランド、スペイン、チェコ
・セキュリティーサーヴィス業に対する不必要な規制(欧州共同体条約の規定する開業の自由、サーヴィスの自由(Dienstleistungsfreiheit、49条以下)に違反):イタリア、ポルトガル、オランダ
・ルクセンブルク以外の加盟国に本拠を置くサーヴィス業者が、ルクセンブルクで加盟国以外の国籍の労働者を雇う場合に、労働許可を要求し、労働許可は例外的な場合にのみ出されるとする法律の規定(欧州共同体が規定するサーヴィスの自由に違反):ルクセンブルク
・自国以外の加盟国で受けた医療行為は、原則として自国の社会保障でカヴァーされなければならないとする欧州共同体条約49条に関する欧州司法裁判所の判例に対する違反など:フィンランド
・イタリア以外の加盟国の企業がイタリアで営業活動を行う場合でも、自動車の登録を不可能にする法規定と行政慣行(開業の自由に違反):イタリア
・カナリア諸島の不動産を旅行者に賃貸する場合の許可制度(サーヴィスの自由に違反):スペイン

14日(木曜日)

・直接税に関する問題:スペイン
・エネルギー及び電気の課税に関する共同体指令2003年96号の国内法未転換:イタリア、ドイツ、ギリシア
・相続税・贈与税法に関する問題(欧州共同体条約12条、43条、48条に違反):ベルギー

15日(金曜日)

・株主の国籍による差別(欧州共同体条約29条、42条に違反):スペイン
・保険会社の清算手続に関する共同体指令(2001年17号)の国内法未転換:スウェーデン
・バイオテクノロジー発明の法的保護に冠する共同体指令(1998年44号)の国内法未転換:ルクセンブルク
・自賠責保険に関する共同体指令(1984年5号)違反:アイルランド
・自賠責保険業者の職業団体への強制加入制度(共同体指令1973年239号、共同体指令1988年357号、1992年49号に違反):ギリシャ
・職業資格の相互承認に関する共同体指令(1989年48号)違反:スペイン
・歯科医師資格の相互承認に関する共同体指令(1978年686号)違反:フランス
・課税に関する親子会社指令(Mutter-/Tochter-Richtlinie、1990年435号)の改正指令(2003年123号)の未転換など、直接税に関するもの:チェコ、ギリシア、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク
・自宅売却の課税に関する国籍による差別:スウェーデン
・外国からの収入がある自然人の課税に関する国籍による差別:フィンランド
・外国の学校に支払った学資金が所得税の控除の対象とならない制度:ドイツ
・環境法の問題:ドイツ、スペイン、フランス、連合王国、ギリシア
・公共事業の入札制度の問題:ドイツ、スペイン、ギリシア、イタリア、ポルトガル、フランス

〔用語解説〕

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