EU近隣交通網の整備:全ヨーロッパ規模の高級事務レヴェル会合開催
懸案となっている欧州連合の近隣交通網整備の方向性に関して、中央ヨーロッパ時間19日・20日に、ブリュッセルで、全ヨーロッパ規模の高級事務レヴェル会合が開催された。今秋にも結論を出す方向で、調整作業は大詰めを迎えている。結論では、今後の欧州交通網整備の方向性が明らかになるため、注目されている。
この会合は、2004年10月に、欧州委員会のロジョラ・デ・パラシオ(Loyola de Palacio)副委員長(当時)のイニシアティヴで始まったもの。EU25か国、EU加盟確定国2か国(ルーマニア、ブルガリア)、近隣諸国26か国の交通関係高級事務官僚により構成され、欧州投資銀行、欧州復興開発銀行、国際復興開発銀行(世界銀行)もオブザーヴァーとして参加している。
今回の会合では、7月の会合で決定した次の5計画の優先順位について話し合われたとされる:
- 海洋ハイウェイ(Meeresautobahnen):バルト海・大西洋・地中海・黒海(とその沿岸諸国)を結ぶ交通路の発展。更には、スエズ運河経由で紅海や太平洋への延伸。
- 北枢軸(Nördliche Achse):EU北部からロシアを結ぶ交通路の発展。
- 中央枢軸(Zentrale Achse):EU中央部からウクライナ・黒海を結ぶ交通路の発展。
- 東南枢軸(Südöstliche Achse):EU中央部からバルカン諸国・トルコを経て、コーカサス・カスピ海・紅海・ペルシャ湾へ至る交通路の発展。
- 西南枢軸(Südwestliche Achse):EU西南部・モロッコ・エジプトその他のアフリカ諸国を結ぶ交通路の発展。
交通網の発達は、経済発展や安全保障ときわめて密接な関係をもっているため、外交関係上大きな意味を持つ。スエズ運河やパナマ運河の建設、ドイツ帝国の3B政策、大英帝国の3C政策、ロシアのシベリア鉄道・東清鉄道建設、日本の南満洲鉄道建設、ドイツのアウトバーン建設など、歴史上の例を挙げればきりがない。
交通会合に多くの国々が参加しているのは、なるべく多くの近隣諸国の利害を調整する意味があるものと見られる。この交通網は、EUの欧州横断ネットワークに接続するものとして、大きな経済的・政治的意味を持つ。会合は、「通商を容易・確実にするために発展させなければならない重点の確定(Festlegung der Hauptsachen, die entwickelt werden sollen, um den Handel zu erleichtern und sicherer zu machen)」、「全欧的な善隣政策のコンセプト形成への貢献(Beitrag zur Konzipierung einer europaweiten Nachbarschaftspolitik)」を目標として掲げている。
欧州委員会の見積もりによれば、2020年には、EUと近隣諸国の間の陸上貨物交通は、現在の2倍以上に達する可能性もあるという。
一方、交通分野が世界的に財政難に逢着していることも事実で、「財政問題の解決策を見つけること(Finden von Lösungen für die Finanzierungsprobleme)」も会合の目標として掲げられている。
会合の最終報告は、今秋中にも策定され、欧州委員会のジャック・バロ副委員長に提出されるという。
会合参加者は、次の通り:
- 欧州委員会
- 欧州連合25か国
- ルーマニア
- ブルガリア
- エジプト
- アルバニア
- アルジェリア
- アルメニア
- アゼルバイジャン
- ベラルーシ
- ボスニア・ヘルツェゴヴィナ
- 旧ユーゴスラヴィア・マケドニア
- グルジア
- イスラエル
- ヨルダン
- クロアティア
- レバノン
- リビア(オブザーヴァー)
- モロッコ
- モルドヴァ
- ノルウェー
- パレスティナ
- ロシア
- セルビア・モンテネグロ
- コソヴォ
- スイス
- シリア
- チュニジア
- トルコ
- ウクライナ
- 欧州投資銀行(オブザーヴァー)
- 欧州復興開発銀行(オブザーヴァー)
- 世界銀行(オブザーヴァー)







