スイスの国民投票が「人の自由移動」協定の拡大を可決、中東欧諸国との人の自由移動を保障へ
中央ヨーロッパ時間25日、スイスで国民投票(レフェレンダム)が行われ、人の自由移動に関するEU・スイス(欧瑞)協定(Freizügigkeitsabkommen)の批准を可決した。これにより、中東欧を中心とするEUの新規加盟国10か国についても、スイスとの人の移動の自由が相互的に保障されることとなった。但し、拡大前のEU加盟国同様、2011年まで自国の労働市場の保護するための例外規定が適用される。
投票率は53.8パーセントで、うち145万7807人が賛成票を、114万6784人が反対票を投じた。賛成55.95パーセントで賛成票が過半数を制し、国民投票は案件を可決した。賛成多数が占めたカントン(州)は、26カントン中19カントンにのぼった。
スイスは、6月5日にもシェンゲン・ダブリン両協定を国民投票で可決しており、これによりシェンゲン諸国とのパスポートコントロールの撤廃が決定している。6月の国民投票に比較して投票率は若干低かったものの(6月5日の国民投票は同性婚の投票と同日投票だったことの影響であると見られる)、賛成票の比率は6月の国民投票に較べて高かった。
スイスは、1960年に、連合王国・デンマーク・ノルウェー・オーストリア・ポルトガル・スウェーデンとともに、欧州自由貿易協定(EFTA)を締結して市場を開放したが、ノルウェーを除いて前述のすべての国が欧州諸共同体ないし欧州連合(EU)に鞍替えしたため、ノルウェー・スイスと、その後加盟したアイスランドとリヒテンシュタインは、「残存エフタ(Rest-EFTA)」を形成していた。
残存エフタは、1992年に、EUとともに欧州経済地域(EWR = Europäischer Wirtschaftsraum)を結成する協定を締結したが、スイスだけがこれを拒否。EUとスイスは、2000年から、二者間(bilateral)協定を締結してEUとの相互市場開放を行っている。
締結された条約は7つにのぼり、物・サーヴィス・資本の自由移動に関する6つの協定については、EU新規加盟国にも適用されることとなったが、人の自由移動に関しては、スイスの労働市場を脅かすものとして懸念され(中東欧から大量に安価な労働力が流れ込むのではないかという懸念がある)、EU側と再交渉をして文言を確定した。
この協定に対して、右派を中心とする勢力が反対運動を展開し、レフェレンダムの手続に乗せた。当初、このレフェレンダムに関しては、否決されるのではないかという悲観的な観測が流れていたが、「この協定を否決すれば、『ギロチン条項』が発動される(EU側が7つのすべての協定を破棄する)可能性もある」などとキャンペーンを張った結果、大差で可決された(スイスの経済はEUとの輸出入に大きく依存しており、貿易が制限されると大打撃を受ける)。
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