EUの年間インフレ率が上昇:9月は2.5パーセント
欧州統計局(Eurostat)は、中央ヨーロッパ時間18日、9月の年間インフレ率を発表した。それによれば、EU25か国の年間インフレ率は、2.5パーセント(前月比0.3ポイント上昇)だった。また、ユーロ圏12か国では、2.6パーセント(前月比0.4ポイント上昇)だった。
EUではインフレ状態が続いているが、その主な原因は原油価格の高騰にある。エネルギー分野を除いたユーロ圏のインフレ率は1.5パーセントであるのに対し、エネルギー分野では実に9.5パーセントのインフレ率となっている。
インフレーションは、貨幣価値が下落する現象であるから(「物価が上昇する」というのは、同じ物品をより多くの貨幣と交換しなければならなくなることなので、結局「貨幣価値が下落する」ことと同じことである)、これを抑制する手段として公定歩合の引き上げがある。公定歩合が引き上げられると、市中での金利も上昇し、結局、企業や個人にとっては、銀行からの借り出しを減らし、預金を増やすインセンティヴが働くので、市場に流通する貨幣量が減り、貨幣価値が上昇する(したがってインフレを抑えられる)、というのが経済学上の理論である。
一方で、利上げは経済発展を抑制する効果を持つため(企業の借り出しが減少するから)、欧州中央銀行は2003年6月6日に2パーセントに引き下げて以来、2年4か月以上この公定歩合を維持してきている。しかし、最近では、欧州中央銀行のオットマール・イッシング(Otmar Issing)主席研究員(Chefvolkswirt)は、公定歩合の引き上げもありうるという見方を示している。
もっとも、今回のインフレは欧州経済の好況によるものというよりは、原油価格の高騰という外在的な原因に由来するものであり、ようやく回復に向かっている欧州経済に悪影響を及ぼす利上げには反対する声もある(好況→賃金上昇→物価上昇(インフレ)→利上げ→インフレ抑制・景気変動緩和、というのが本来のシナリオである)。
エネルギー分野以外にインフレが顕著なセクターは、アルコール・煙草、住居、交通である。アルコール・煙草分野では5.5パーセント、住居分野と交通分野ではそれぞれ4.3パーセントの上昇となっている。もっとも、交通分野は、原油価格の高騰の余波を受けやすい分野である(航空機・バスなど)。
これに対し、衣料品では0.2パーセント、食品では0.4パーセントと低いインフレ率に抑えられている。これらの分野のインフレ率が低い一因は、域内・域外からの安価な物品の流通にあると見られる。衣料品については、今年に入ってから安価な衣料品が中国から大量に流入しており、一時は貿易摩擦が深刻化したほどである。
国別に見ると、ラトヴィアで7.4パーセントと飛びぬけて高く、エストニア(4.9パーセント)、ルクセンブルク(4.7パーセント)、ギリシャ(3.8パーセント)、スペイン(同)、ハンガリー(3.6パーセント)、スロヴェニア(3.2パーセント)、ベルギー(3.0パーセント)と続く。
これに対し、もっとも低かったのはフィンランド(1.1パーセント)とスウェーデン(1.1パーセント)で、それに、オランダ(1.7パーセント)、ポーランド(1.8パーセント)、チェコ(2.0パーセント)、マルタ(同)、キプロス(2.1パーセント)、イタリア(2.2パーセント)、スロヴァキア(2.3パーセント)と続く。
フランスは2.4パーセント、ドイツは2.6パーセントだった。






