EU域内市場:共同体指令の転換率が向上

© European Community, 2006
欧州委員会は、中央ヨーロッパ時間21日、加盟国による共同体指令の転換率が向上していることを発表した。
共同体指令とは、EUの核心部分を構成する欧州共同体・欧州原子力共同体における立法形式の一つで、EU域内市場の統一ルールを大まかに決定しつつ、その詳細は加盟国の裁量に委ねるもの。国際条約と同じく、加盟国は自国の立法手続で国内法に「転換する(umsetzen)」必要がある。
ただ、加盟国の国内議会の反対に遭うなどの理由で、加盟国は共同体指令の転換を期限どおりに行わないことがある。この場合、EU法により「条約侵害手続(Vertragsverletzungsverfahren)」と呼ばれる手続が開始されることになるが、実際には、手続はやや複雑で手間がかかる上、問題事例が余りにも多いために、すべての手続に対してこの手続が開始されているわけではない。
しかし、EU各国の規制が異なれば、例えばA国でA国の規制を遵守して製作した製品を、規制の違いにより同じEU内のB国で販売できないという事態が生じ、ひいてはEU域内市場における自由な通商を妨げることになってしまう。このようなことを避けるためには、各加盟国が共同体指令を迅速に転換することが不可欠となってくる。
欧州委員会によれば、昨年12月1日時点で1635本の共同体指令が転換期限を迎えている。加盟国のうち、もっとも転換率がよかったのはリトアニアで、転換期限を徒過したのはわずか6本(0.4パーセント)だった。逆に、もっとも転換率が悪かったのはルクセンブルクで、72本(4.4パーセント)も転換期限を徒過した共同体指令がある。
EU25か国の平均でみると、未転換率は1.6パーセントであり、観測を開始して以来最も低かった。欧州委員会のチャーリー・マクリーヴィー委員は、この結果を歓迎した。
EUの首脳により決定された目標は「1.5パーセント」(つまり、転換していない指令のパーセンテージをそれ以内に抑える)であり、EU全体では今回も達成できなかったものの、17か国がこの目標を達成した。
目標を達成できなかったのは、ルクセンブルク、ギリシャ(3.7パーセント、60本)、ポルトガル(3.1パーセント、50本)、イタリア(3.1パーセント、50本)、チェコ(2.5パーセント、41本)、アイルランド(1.8パーセント、30本)、ベルギー(1.8パーセント、29本)、フランス(1.7パーセント、28本)の8か国。
ただ、いずれの国も、転換期限を徒過してから2年以上放置した指令の数は1桁に抑えているため、現在転換されていない指令も、そのほとんどが近い将来には国内法に転換されて施行されるものと見られる。






