2006年03月10日 EU消費者保護

欧州委員会:中国を名指しで批判、EU内での危険玩具・電器が増加

マルコス・キプリアーヌ
© European Community, 2006
欧州委員会のマルコス・キプリアーヌ委員(衛生・消費者保護担当)。「EU内で流通した危険製品の数が多かったことに関して、たいへん憂慮いたしております(Ich bin sehr besorgt angesichts der großen Zahl gefährlicher Produkte, die in der EU in Verkehr gebracht werden)」。

欧州委員会は、中央ヨーロッパ時間2日、2005年の「食料品以外の消費財の早期警告システムに関する報告書(Bericht über das Schnellwarnsystem für Non-Food-Konsumgüter)」を公表した。

この早期警告システムは、食料品・医薬品以外の消費財について、消費者の健康や安全に深刻な危険を及ぼす製品を加盟国の行政庁が欧州委員会に報告し、危険な製品が域内市場に出回るのを防止するためのもので、「一般的な製品安全性に関する指令」(2001年95号)により規定されている。

指令の12条によれば、製品に「深刻な危険(ernste Gefahr)」があるために加盟国の行政庁が自国において販売・使用を禁止した場合には、直ちに欧州委員会に報告を行わなければならない。また、11条によれば、それ以外の場合でも、製品の販売を制限したり、回収を命じたりした場合には、欧州委員会に報告しなければならない。

報告書によれば、2005年においては、12条(深刻な危険)に基いて行われた報告件数は701件で、前年(388件)の2倍近くに増加した。

このうち、238件(34パーセント)が電器、171件(25パーセント)が玩具となっており、電器と玩具だけで全体の6割を占めている。

また、危険の性質については、感電(249件)、怪我(227件)、火災(114件)、窒息(96件)という順番になった。

〔中国を名指しで批判〕

生産地別に見ると、中国(香港含む)からの輸入品が346件で、12条(深刻な危険)に基く報告(701件)のほぼ半数を占めている。また、「生産地不明」とされている製品が138件もあり、実際には、中国からの輸入品だけで半数を超えている可能性もある。

これについて、欧州委員会は「これまでの数箇年と同じく、報告された危険製品の大部分は非EU諸国、ことに中国からの輸入品である(Wie in früheren Jahren stammt ein großer Teil der gemeldeten gefährlichen Produkte aus Nicht-EU-Ländern, vor allem aus China)」とコメントしている。

もっとも、EU25か国・欧州経済地域において生産された製品については、139件(21パーセント)とされているが、「不明」のうち相当数はEU内・欧州経済地域内で生産されている可能性があるため、「報告された危険製品の大部分は非EU諸国からの輸入品」と断言するのは、やや行き過ぎの感がある。

しかしながら、報告件数のほぼ半数が中国産の製品であることもまた事実であり、欧州委員会が中国に対して名指しで非難を加えて牽制することにも理由がある。

欧州委員会のマルコス・キプリアーヌ委員(衛生・消費者保護担当)は、「この問題については、最近中華人民共和国を訪問した折に、中国の担当者たちと協議いたしました(anlässlich meines jüngsten Besuchs in der Volksrepublik China habe ich auch diese Frage mit meinen Kollegen erörtert)」と述べているが、中国製品の報告件数が2005年に199件も増加したこともまた事実であり(2004年は147件)、中国製品の安全性については、予断を許さない状況にある。