CEFTA拡大は年内に:ブカレストでEU・東南欧首脳会談

© European Community, 2006
東ヨーロッパ時間6日、ルーマニアのブカレストで、CEFTA(Central European Free Trade Agreement、中欧自由貿易協定)の拡大に関する首脳会談が開催された。これにより、CEFTA拡大の交渉が開始された。
会談は、タリチャーヌ・ルーマニア首相とブセク東南欧安定協定特別調整官が主催し、EU未加盟の東南欧諸国の首相が参加した。欧州委員会からは、オッリ・レーン委員(拡大担当)とピーター・マンデルソン委員(通商担当)が参加した。
CEFTAは、もともと1992年にポーランドと旧チェコスロヴァキア(のちにチェコとスロヴァキアに分離)の間で締結されたもので(締結地はポーランドのクラクフ)、同年にハンガリーが加盟し、その後は、1996年にスロヴェニア、1997年にルーマニア、1998年にブルガリア、2002年にクロアティア、そして今年マケドニアと、加盟国を増やし、拡大してきた。
このうち、ポーランド、チェコ、スロヴァキア、ハンガリー、スロヴェニアが2004年にEUに加盟しCEFTAを「卒業」したことからも分かるように、EU側は、CEFTAをEU加盟の準備段階ないし試金石と捉えている(今回、拡大担当のレーン委員が会談に参加したのはこのためである)。この意味で、今後EU加盟を目指す諸国にとって、CEFTAへの加盟は重要な一歩となる。
現在、CEFTAへの加盟が予定されているのは、アルバニア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、モルドヴァ、セルビア・モンテネグロ(かつての「新ユーゴスラヴィア」)の4か国である。また、将来的には、オレンジ革命により民主化したウクライナの加盟も模索されている。
今回の会談では、4か国へののCEFTA拡大が、年内に行われるべきことが決定された(概ね10月頃になるものと見られている)。EU側としても、コソヴォ紛争に象徴されるように冷戦終了・旧ユーゴスラヴィア崩壊後なかなか安定しない西バルカンを、早く欧州統合のプロセスに組み込み、安定させたい狙いがある(バルカン半島は、かつて「弾薬庫」と呼ばれたように、民族構成が複雑できわめて不安定な地域である)。
従来、CEFTA加盟には、WTO加盟国であるか、又は、EUとの安定連携協定の締結国でなければならないということになっていたが、ボスニア・ヘルツェゴヴィナとセルビア・モンテネグロはいずれの基準もみたしていない。このため、今回の拡大にあたって、CEFTA加盟の要件が緩和されることは確実となった。
CEFTAの拡大は、通商実務上も大きな意味がある。2001年以来、アルバニア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、ブルガリア、クロアティア、マケドニア、モルドヴァ、ルーマニア、セルビア・モンテネグロ、コソヴォ自治州の9つの国・地域の間には二国間協定が締結され、それにより通商が規律されてきた。
しかし、9つの国・地域の間の通商関係が二国間協定によって規律される場合には、単純計算で36本の二国間協定が必要となる(9C2 = 36。もっとも、ここにはCEFTA加盟国が含まれているため、実際の数はこれより若干少ない)。しかし、企業にとって見れば、このような複雑な通商法を調査し遵守することには大きなコストがかかる。このため、安価な労働力が提供できるにもかかわらず、これらの地域は投資先として敬遠されることになり、事実、この地域の経済発展は思わしくない。
これらの国々の通商関係が1本のCEFTAにより規律されることになれば、通商に関するルールを調査し遵守するコストは大幅に削減され、投資先としての魅力が増大することになる。
また、EUから見れば、EU加盟の際に必要となる厖大な加盟交渉(その実質は、EUがアキ・コミュノテールを新規加盟国に受け入れさせ、新規加盟国がそこからの例外的取扱を求める交渉)を行うための「地ならし」をしておくことができるので、長期的な視点からは西バルカンのEU加盟を希望するEU側からも、望ましいということになる。






