2007年08月02日 EU危機管理

山火事:2007年7月はこれまでで最悪の月

【2日・欧州委員会発表】2007年の山火事の季節は始まってまだ間もないが、速報値によれば、3376平方キロメートルが既に灰燼と化してしまった。2006年は、一年間で焼失したのが3585平方キロメートルであり、2007年7月は、山火事に関する観測史上最悪の記録となった。この数字は、欧州委員会の管理する「欧州山火事情報システムEFFIS」(「European Forest Fire Information System」の略)が公表したものである。EFFISは、山火事警報の発令と山火事の損害調査を行うシステムである。

ギリシャやキプロスのような国々では、すでに6月末に山火事リスクが高いとの警告が行われていたが、山火事件数と延焼面積は、7月後半にブルガリア・クロアティア・ギリシャ・イタリアで急激に増加した。延焼面積50ヘクタール以上のすべての火災を把握する衛星写真によれば、この4つの国だけで合計2229平方キロメートルが焼失した。その他、トルコやアルバニア等の国々でも甚大な山火事の被害が生じているが、EFFISはこれらの国々については把握していない。

EFFISの情報によれば、山火事リスクは今後数日間にわたって継続する。EFFISのリスク予報は、2月1日から10月31日にかけて毎日、加盟国の災害保護当局と林野当局に伝えられている。7月における南欧の山火事リスクは、相対的に見ればそれほど高くないものであったが、イベリア半島南部とカナリア諸島の状況は著しく緊迫してきている。これらの地域ではEFFISにまだ把握されていない拡大中の火事があり、引き続き高いリスク状態にある。

スペインは、欧州委員会を通じて、国際憲章「宇宙と大災害」(International Charter - Space and Major Disasters)を発動した。この国際憲章は、国々が自然災害及び人災の際に統一的な手続により衛星写真を入手することを目的とするものである。

EFFISは、衛星を使用した気象マッピング・システムであり、欧州委員会の「科学における片腕」である共同研究所(JRC)により管理されている。EFFISは、山火事リスクと山火事損害の調査結果の情報を加盟国に毎日提供している。欧州議会は、2006年に、EFFISは山火事の経済的・社会的影響についても情報提供を行うべきであるとの要求を行っている。このEFFISの業務拡大については、目下その作業を行っているところである。

EFFIS:

http://effis.jrc.it/Home



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